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(ただの日記)見えない誰かに受け入れてもらう道を探し続けるよりも。

by orie1166

 25歳、休職中の女子が泊まりにきてくれた。大学を出てからいくつかの職を経験するも合わないことも多く、これからどう働いてゆくか、何を生業にしてゆくかを考えているところだと言う。41歳の私からすると25歳なんてこれからなんでもできる年齢だし、うらやましいなぁ。いやいや、そう言っても私だって25歳くらいのときに、いろいろ進路について考えていたぞ...なんてとりとめない思いが心の中を巡ってゆく。そんな朝の時間を過ごしたあと、小さい雨粒を浴びながら、事務仕事をするためにパソコンを背負い近所のカフェに向かう。戸隠や飯綱あたりは雪だろうか。

 事務仕事は、数字が絡むことも多い。県の事業、市の事業、それぞれの割引の利用者を中間報告したり、書類をまとめて申請をしたりする。スタッフに払う休業手当は雇用調整助成金を使っているが、そうしたものも含めて申請した金額がきちんと入金されているか口座のチェック。うん、今月もなんとか残高を減らさずにやっていけた。偉いぞ、自分。次に考えないといけないのは、12月に開催するイベントの集客だ。コロナ禍前から数年はリスキーな(つまり、赤字覚悟のような)イベントの開催は避けていて、朝ごはん会やスタッフがゲストスピーカーになり自分自身の生い立ちを喋るような、収支を考えなくても良い催しをゆるゆると開催するにとどまっていた。しかしながら、次の12月に久々にトークゲストを2名お呼びして、イベントを行う。ゲストには謝礼をお支払いするし、食事もケータリングをお願いするつもりだし、そもそも一般の宿泊は取らずにイベント貸切にしているので、参加者がいないとただただ赤字となる。たった10名集めればいいのだけれど、それがどうなるのか未だ見えないでハラハラしている。考えだすと胃が口から出てきそうだ。企画は絶対面白い。ゲストも最高。ただただうちの告知力が足りない。こういう企画をやりたい!と思い勢いで告知したものの、自分の勢いだけではダメなのかもしれない。予約台帳のカレンダーに目をやる。今年も残り1ヶ月ほど。少しずつ好転しているとは言え、コロナ禍前には程遠く、宿の予約状況も満室に手が届きそうなのは大晦日くらいのものだ。じゃらんネットや楽天トラベルなど予約サイトへの部屋提供はサイトコントローラーにかかる基本料金を下げたいのもあって、このコロナ禍中にほとんど止めたけれど、やっぱり予約サイトに頼るべきなのか...。来春の4.5.6月の善光寺さんの御開帳で巻き返しがはかれるんだろうか。御開帳のときはどういう宿が求められるのか、どういう営業をすればお客さんに来てもらえるのだろうか。宿泊だけでは心もとないので、物販のオリジナルグッズも作ろう。どんなニーズがあるだろう。何だったら買ってもらえるんだろう。朝食営業なんていうのもアリかもしれない。

 気づけばパソコンの充電が切れて、コーヒー1杯で長居してしまったことを猛省する。午前のこの店の2階は空席が多いので甘えてしまった。宿に戻って仕事の続きをしようと外に出ると、朝の天気とは裏腹に青空が広がっていた。小さく、プルプルっと頭を振る。25歳、休職中の女子は、これからどう働いてゆくか、何を生業にしてゆくかを考えているところだと言っていた。私自身はどう働き、何を生業にしたいんだろう、とふと考える。もちろん今現在は1166バックパッカーズが生業である。でも、自分自身は1166バックパッカーズをどういう宿にしたいのだろう。

 視界の全てをパソコンに捧げて数字を追っていると、気づかぬうちに視野も思考も狭くなる。危ない危ない、またギリギリのところで気づけてよかった、なんて思う。お客さんに来てもらうため、売り上げをキープするため、観光客が動くシーズンにうまく利益を出すため...そんなことだけのために宿を営業しているのであれば、とてつもなくつまらない。どんなお客さんに来てもらいたいのか。もっと言えば、お客さんという存在を一度切り離してみたとき、自分は何を大切に仕事がしたいのか。自分がやりたいことと社会が必要としていることが合致するのであれば、それは商売になるように思う。この二つの考えの入り口の角度の違いは、似ているようで大きく異なる。はて、よその店の店主も私と同じように、視野の狭さにときどき襲われているんだろうか。

 命があることが前提ではあるが、人生は勝手に続いてゆくと思っている。どうせ生き続けるのであれば、胃を痛めながら見えない誰かに受け入れられる道を探し続けるよりも、自分自身にやりたいことを真剣に問いながら生きてゆきたい。その過程で誰かにうまいこと共鳴してもらえればなぁ、なんて思う。

 

飯室でした

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ちなみに、文中に出てくるイベントは、こんなイベントです。宿には日々いろんな職業、生き方の人が現れます。例えば定職につかずもう何年も放浪している家族だとか、例えばサグラダファミリアの修復に携わっているなんて方も来られた。よく知っている割にあまりフランクに話す機会がない職業のかたとしては、映画監督やお医者さん、鍼灸師さん、消防士さん、力士が泊まったことも。自分が学生のころはあまり聞かなかった「まちづくり」について学んでいる学生さんや、小さい頃から看護師になりたくって夢を実現した看護師さんが泊まりに来たことも。ゲストハウスでは肩書きや年齢などを少し横に置いて、ともに「旅人」だったり「宿泊者」というフランクな立場で、一緒に飲んだりする。それが、ほんとうに、めっちゃ面白い。学生時代、進路について考える前に、もっと世の中にいろんな仕事、いろんな生き方に出会えたら、働くことにポジティブになれるのでは? もっと広い視野で自分自身にやりたいことを問えるのでは? そんな風に思って、企画しました。2名のゲストも私が話を聞きたいという理由でお声掛けさせてもらい、なんだったら(赤字ではあるけれど)うちのスタッフがこのイベント貸切らせてもらうぜ〜なんて贅沢なイベント!という気持ちであります。

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